中央区はオモシロ建築の宝庫


1995年撮影、元機械工具販売の店だった「麻生商店」。モルタル製の手すりが付いたベランダと、天使の装飾が印象的だった。ここも2001年頃に取り壊され、大きなマンションに建て替わった。

東京・中央区。この区は、月島、佃、築地、新富町の周辺が、戦前に建てられた民家や商店が多く残っている地域である。もんじゃ焼きで有名な月島は、今も路地裏に木造の民家が建ち並び、商店街には小さな古い交番もある。築地、新富町周辺にも戦前築の建物はたくさんあった。この辺りもやはり戦禍を免れた地域で、路地を裏に入ると、そこかしこに戦前の匂いを残す建物があった。以下にいくつかご紹介したい。


1995年撮影の新富町・丸新青果店と他2軒。市松模様の色モルタルが美しい建物だった。この一角には戦前の建物が集中して残っていたが、1997年頃に取り壊されてしまったようだ。


上の丸新青果の並びに建っていた新光貨物新富倉庫。中央上部に付いた装飾は、なんと花瓶に入った花。


1995年撮影の新富町・植村家。銅板張りの商店の中でもかなりの秀作。元は貴金属を扱うご用聞きの仕事をしていたという。現在は江戸東京たてもの園に保存されている。


1995年撮影の竹田ビル。地元の建設会社で、周辺にあった近代建築の施工も行っていたという。入口には石造りの狛犬も置かれていた。


1995年撮影の築地・三共電機工業。明らかに当時違法だったと思われる木造3階建て(4階建て?)。鉛筆のような外観が個性的だった。